· 

不潔恐怖で地面に落とした物が拾えない症状を治す方法

こんにちは。心理カウンセラーの武田です。

 

不潔恐怖の人で、地面に落とした物を拾えない人はいませんか?

 

例えば、財布などを道に落としてしまった時は困りますよね。

 

地面の汚れで、財布が汚染されて、その財布を触ると手も汚染されて、その手で他の物を触るとさらに汚染が広がってしまう・・・。

 

そんな強迫観念に襲われて拾えなくなっちゃうんですよね。

 

でも財布も大事なものだから、テッシュで包むように拾う人もいると思います。

 

ただ、それでも気持ち悪くて帰宅後、何度も手洗いしたり、除菌シートで財布を何度も拭いたりと強迫行為で疲れてしまう人も多いと思います。

 

今回は地面の汚れが怖い方がどういう手順で治していけばいいか書いていきたいと思います。

 

この記事は、できればご家族にも読んでいただいて、ご家族で協力して取り組んでいただくのがいいと思います。

 

今回の記事は、

 

1.強迫性障害を治す曝露反応妨害法とは。

 

2.強迫行為を我慢するコツ。

 

3.強迫観念とは戦わず強迫行為にこそ抵抗しよう。

 

4.治る人の条件。

 

5.一人で取り組む自信のない人は。

 

という流れでまとめていきますね。

 

1.強迫性障害を治す曝露反応妨害法とは。

曝露・・・通常避けてしまうことを思い切ってやってみることです。

 

反応妨害・・曝露の状況でいつもしてしまう強迫行為を我慢することです。

 

曝露と反応妨害の練習を毎日継続することが重要です。

 

地面の汚れが怖い人が取り組む曝露は次の二点です。

 

●汚れを避けずに、地面を何度も何度もしっかり触ること。

 

●その手で家中の物を何度も触って目に見えない汚れを広げること。

 

はじめ地面を触るのはとても怖いと思います。

 

ですので、まずは人差し指でつんつんと触ってみましょう。10回地面をつんつんしてください。

 

それができたら3本の指で同じように10回地面をぽんぽんと触ってください。

 

それができたら5本の指全部で地面を10回ペタペタと触ってください。

 

それができたら掌全体で地面を軽く3回なでてみてください。

 

これだけで、30回以上地面に触れたことになります。

 

何度も触っているうちに慣れてきて、不安が小さくなって、バカバカしく思えれば大成功です。

 

そして、掌についた土や砂を両手でパンパンして払い落とします。手は洗いません。

 

今度はその手で、家中のものを触りまくりましょう。

 

これも10分~20分かけて触りまくることが重要です。

 

飽きるまで、バカバカしく思えるまで触りまくるのが大切です。ここまでが曝露です。

 

そして、そのような状態で「手洗いやシャワーをしないこと」「除菌シートを使わないこと」「洗濯しないこと」が反応妨害です。

 

はじめは強迫観念が襲ってきて洗浄・除菌をしたくてたまらなくなりますが、強迫観念に反応してはいけません。

 

強迫観念の正体は実は、脳の「間違った警報」です

 

本当は洗う必要などないのに脳が誤作動して「今すぐ洗え」と間違った警報を出しているだけなのです。

 

不安を感じても、それも脳の誤作動による中身のない不安なのです。

 

ニセモノの不安だから反応してはいけませんよ。

 

強迫観念に反応しちゃうと反応妨害になりません。反応せずに別の活動に意識を向けてくださいね。

 

とりあえず1~2時間は別の活動をして、汚れや強迫観念のことを考えないようにすることが大切です。

 

別の活動をして強迫観念から距離を取り、つかまらないようにするのです。

 

コツは「不安なことを考えるのは1時間後にしよう。この1時間は汚れのことを忘れよう。そして今やるべきことをしよう」と先延ばしして強迫観念から意識を外すことです。

 

手洗いや除菌を我慢して、1~2時間ほど別の活動に意識を向けて取り組んでいると不安が小さくなっていきます。

 

「まだ気になるがさっきほどではない」と思えてくるのです。

 

そこで「じゃあ、もう1時間手洗いしないでおこう」と洗わない時間を延ばしていけばどんどん良くなっていきますよ。

 

曝露と反応妨害はセットでしないと効果がありません。

 

また、曝露反応妨害の1回の練習は1~2時間かかります。毎日時間を決めて本気で練習することが重要です。

 

毎日継続して、練習の総時間が約20時間を超えたあたりから症状はずいぶん楽になってきますよ。

 

2.強迫行為を我慢するコツ

手洗いやシャワーや除菌などの強迫行為を我慢するのは苦しいものです。

 

そんな時は、次の4段階を踏んで練習してください。

 

まず強迫観念に襲われたときは、①②のセリフを文章を変えずにそのまま読んでください。何度も強く自分に言い聞かせてください。

 

紙に書いて壁に貼っておくなど忘れないように工夫してください。

 

①これは脳の誤作動で汚いと感じているだけだ!脳の用心システムである眼窩皮質と帯状回が「間違った警報」を出しているだけだ。無用な警報に反応してはいけない!

 

②かすかでも大丈夫と思えたら絶対大丈夫なのだ!発症前の私は地面に触っても平気だったから絶対に大丈夫なのだ!

 

★①②を唱えることでまず強迫行為にブレーキをかけるのです。そして次に③のセリフを唱えて、別の活動に関心を移してください。別の活動をすることで強迫観念をかわすのです。

 

③「だから汚れのことを考えるのは1時間あとにしよう。今から1時間は汚れのことを忘れよう。今やるべきことをしっかりやろう!」

 

④1時間、汚れのことを考えないで別の活動をしていると、不安が小さくなっています。そこで「さっきの不安は、やっぱり脳の誤作動だったんだ。無用な不安だったんだ!」と実感しよう。

 

★④で「強迫観念はやっぱりただの脳の間違った警報だったんだ。無用な心配だったんだ。」という認識を強めるわけです。そのことでさらに強迫行為にブレーキがかかりやすくなるのです。

 

3.強迫観念とは戦わず強迫行為にこそ抵抗しよう。

強迫観念は勝手に頭に浮かんでしまいます。浮かばないように意識しても浮かんでしまうのです。つまりコントロール不可能です。

 

コントロール不可能なものと戦ってはいけません。

 

よく失敗しがちなのが、強迫観念を打ち消すような考えをしてしまうことです。

 

「理屈や正論で、○○だから大丈夫なはずだ」と考えることによって、強迫観念を打ち消したくなりますが、うまくいかない時が多いのです。

 

いくら考えても強迫観念は「万が一のことがあったらどうする?取り返しのつかないことになるぞ」と脅してきます。

 

つまり、考えれば考えるほど強迫観念は執拗になり、不安が強くなってしまうのです。

 

だから強迫観念は浮かんでも抵抗せずに放っておきましょう。相手にせず、頭の中を自然に通り過ぎさせるイメージです。

 

強迫観念など、どうせ脳の誤作動による「間違った警報」に過ぎないのですから放っておいても無害です。

 

大切なことは強迫行為をしないように行動に絞って練習することです。

 

頭の中にどんな考えが浮かぼうともそれは放っておいて、「地面をしっかり触る」「目に見えない汚れを広げる」「手を洗わない」といった行動さえできたら練習課題は成功です。

 

行動を変えることが先なのです!正しい行動をとることで、強迫観念は結果として小さくなっていくのです。

 

4.治る人の条件

曝露反応妨害法による治療中は、よい日も、悪い日もあると思います。いつもスムーズに進歩するわけではありません。

 

だけど、治った人というのは、諦めずに曝露反応妨害を続けた人です。

 

くじけそうになっても、「次こそ汚れを避けないぞ!」「手を洗わず1時間耐えるぞ!」と本気で実行していく人です。

 

曝露反応妨害法は「筋トレ」と似ています。1日や2日しただけでは筋肉がつかないのと同様、強迫観念も小さくなりません。

 

ですが、2週間、1カ月、2か月・・・とやっていけば、筋肉がつくのと同様に、脳内に正常な神経回路が育ち、強迫観念は小さくなっていきます。

 

たとえ強迫観念が浮かんでも、振り回されないように自分をコントロールできるようになるのです。

 

5.一人で取り組む自信のない人は。

強迫性障害を治すためには、曝露反応妨害法しかありません。

 

ですが、苦手なものに触ったり強迫行為を我慢する必要がありますから、一人でやり遂げる自信がない人もいると思います。

 

そんな時はいつでもご相談してくださいね。

 

下の黄色いボタンからご相談のご案内ページをごらんいただけます。