みなさんこんにちは。心理カウンセラーの武田秀隆です。
確認系の強迫性障害(OCD)の人は、鍵をかけたか、火を消したか、水道を止めたかなど、今さっき確認したはずなのに、家を出た後も強い不安に襲われることがあります。
そんな時は、記憶をたどって「確かにさっきこうやって確認したから大丈夫」と頭の中で必死に確認したくなりますよね。
鍵をかけた場面や、火を消したか場面を思い出して、「○○したから大丈夫なはずだ」と安心材料を探したくなるのです。
私も確認強迫に取りつかれていた時は、そうだったのですね。
私の場合は、実際の確認よりも、家を出てからの「頭の中の確認行為」がやめられなくて苦しい時がありました。いくら頭の中で確認しても、「万が一のことがあったら…」と不安になって、家に戻りたくなってしまうのです。
そして、何度も何度も記憶をたどって安心材料を探し続け、次の活動に集中できなかったり、精神的にクタクタになってしまうことがありました。
今回は、そんな「頭の中の確認」への対処法について書いてみました。
頭の中の確認行為も、OCDの強迫行為だから歯止めをかける
頭の中の確認行為は、「思い出し確認」や「メンタルチェッキング」とも呼ばれています。
そして、知っておかなくてはいけないことは「頭の中の確認行為」もOCD特有の「強迫行為」であるということです。
ですので、やればやるほど不安になるという特性があるのです。いくら頭の中で確認しても、強迫観念が「万が一のことがあったらどうする」と不安をあおってくるのですね。
だから、いくらやってもきりがなく、何度も何度も同じ記憶をたどり、安心材料を探そうとしてしまいます。
「確かに大丈夫だ」と思えたとしても、それはいっときの安心で、また不安になって再び「頭の中の確認」を再開してしまう。
これこそが「思い出し確認」の罠なのです。やりだすとやめられなくなってしまうのですね。
大切なのは、「頭の中の確認行為」にも歯止めをかけることです。
かすかでも確認した記憶があれば絶対大丈夫と信じよ!
歯止めをかけるために有効な考え方が「かすかでも確認した記憶があれば絶対に大丈夫と信じよ!」です。
ほんのかすかでも、鍵をかけた記憶や感覚が残っていたら、それはもう絶対大丈夫なのだと信じる練習をしてみてください。
ほんのかすかでも大丈夫と思えたら、絶対に大丈夫なのです。
そのことを忘れないようにして、思い出し確認に歯止めをかけていきましょう。
OCDの人は完璧な安心を求める傾向が強いと思います。ですが、そこが落とし穴で、「不確か感」が少しでもあると「思い出し確認」を止められなくなってしまうのです。
大切なのは「不確か感」があっても、「たぶん大丈夫だろう」とかすかでも思えたら絶対に大丈夫と信じて、そこで思い出し確認を打ち切ることです。そういう練習を頑張ってやってみてくださいね。
強迫観念の「もっと確認しろ」という命令には従ってはいけない
OCDは脳の心配回路の誤作動が原因です。
本当は大丈夫なのに脳が誤作動して「もっともっと確認しろ」と間違った指令を出しているのです。
脳が誤作動して「もう一度、ちゃんと鍵をかけたか思い出せ!」というバカげた指令を出しているのです。
本当はさっき確認したから大丈夫なのです。思い出す必要などないのです。
「鍵が開いているかもしれない」とか「火が消えてないかもしれない」というのは、脳の「間違ったメッセージ」です。
脳が「もしかしたら鍵が開いてるかもしれないぞ!ちゃんと思い出せ!」と間違った嘘のメッセージを送っているのです。
脳の「間違った指令」に振り回されずに、頭の中の確認行為に歯止めをかけていきましょう。
「これは間違った指令だ!振り回される必要はない。無視していいんだ」と強く自分に言い聞かせる練習をしましょう。
頭の中の確認行為には、「先延ばし作戦」が有効!
どうしても不安になって、頭の中の確認行為をしたくなっても、すぐにしないようにしてください。
少なくとも30分待つようにしてほしいのです。
不安になっている時は、OCDに取りつかれて脳が誤作動している状態です。
脳の心配回路が暴走して、「やばいぞ!確認しろ!」と間違った警報が鳴り続けている状態なのです。
そんな状態の脳でいくら考えても、安心する結果は得られません。かえって不安が強くなるだけなのです。
誤作動した脳で思い出し確認をするのではなく、まずは脳を正常化させることが重要です。
そして、脳を正常化させるために必要なのが「時間」なのです。
思い出し確認をしたくなったら、「今は脳が誤作動しているので、30分後にしよう」と先延ばししてほしいのです。脳が正常化するための「時間かせぎ」が大事なのです。
そしてその30分間は、確認から意識を外して、別の活動に集中してほしいのです。確認のことを考えない時間をつくることで、オーバーヒートした脳を鎮静化させるのです。
とにかく30分間は、鍵やコンロの火のことを考えないで、別の活動に集中するようにしてください。仕事でも遊びでもいいのです。意図的に別の活動に集中して、OCDをかわすことが大切です。
するとどうでしょう!30分間、別の活動に集中した後で、鍵やコンロの火のことを考えても、
「まだ気になるけどさっきほどではない。たぶん大丈夫だろう」と思えることが多いのです。
これこそが、30分先延ばし作戦の効果ですね。
30分間で、脳の心配回路が正常化して、正当な判断ができるようになったのです。
「よしよし、さっきより不安で無くなったから、もう30分間別の活動に集中しよう」
「さっきより大丈夫だろうと思えるから、もう忘れてしまおう」
という感じで、さらにOCDをかわして、別のことに集中するようにすればどんどん治っていきますよ。