強迫性障害・不潔恐怖を治す行動療法4ステップ方式
こんにちは。心理カウンセラーの武田です。
不潔恐怖の人は、どうしても「100%きれい」にこだわってしまうのですが、こだわればこだわるほど、家族を巻き込んで「生きづらい」人生になってしまいがちです。
あなたは、聖域にこだわってこれからも「生きづらい人生」を続けていきたいですか?
それとも、勇気を出して聖域を壊して、汚れを受け入れて、「気楽に生きる人生」を歩んでいきたいですか?
どちらの人生が自分にとって幸せなのかしっかりと考えることも大切ですね。
そして「絶対に治したい!」「もう巻き込みたくない!」と思うのならば、「手洗い衝動」や「除菌衝動」に振り回されないで、聖域を壊す勇気と覚悟が必要になってきます。
「発症前の自分」のように「汚れてもいいや」「さわってもいいや」と気楽に生きる練習が必要です。
「治す」ことは「発症前の自分を取り戻すこと」です。
発症前にはできていたことですから、必ず今の自分にもできますよ。
以下はそのためのヒントです。とっても長文になりますが、繰り返し読んでいただければと思います。
1ステップ 脳の間違った命令だと断定する
●「汚れているから触ってはいけない」と考えてしまうのは、ほんものの思考ではない。
「汚れている」という強迫観念にとりつかれているだけである。それは脳の間違ったメッセージにすぎない!
病気のせいで脳が誤作動して、そう思わされているだけである。
●なぜなら、発症前は平気だったのだから。脳が正常な時は平気で触れたのである。
●「触るな!」というのは脳の間違った命令だ。正しい命令は「どんどん触っていいよ」である。
●「すぐに手を洗わなければ」という考えが浮かんでも、それは、ほんものの思考ではない。病気のせいで脳が誤作動して、そう思わされているだけである。脳の間違った信号に振り回されてはいけない。
●「ここは汚れているに違いない」としつこく、そして激しく嫌悪感を感じるのも、病気のせいで脳が誤作動しているからである。ほんものの思考ではない。脳がバカげた信号を送っているだけである。
2ステップ 聖域を壊し、強迫行為に歯止めをかける
●「間違った命令なのだから、振り回される必要はない」と強く自分に言い聞かせよう。
●発症前の自分を取り戻すために、発症前に平気で触れた物に素手で触ってみる。そして、その手で聖域をさわってみる。30分くらい時間をかけてゆっくり触りまくることが大切。
●触った後、手を洗わないようにする。聖域を除菌シートで拭かないようにする。
●嫌悪感や不安を感じても、脳の誤作動によるものだから振り回されないようにする。
●たまらなく手を洗いたい衝動に襲われても、聖域を除菌したい衝動に襲われても、すぐに洗ったり拭いたりしてはいけない。
●これは脳の病気による「間違った衝動」なんだと言い聞かせる。
●「これは間違った衝動だ!だから他のことをしよう!」と洗いたい衝動をかわすのである。
3ステップ 脳を正常化させるために、意図的に次の活動に集中する
●このステップで重要なのは、不安や嫌悪感が浮かんでも、浮かべたまま、反応しない練習をすることである。不安や嫌悪感が浮かんでも、洗浄除菌のことをから意識を外して、次の活動に集中することで、脳を正常化させるのである。
●しかし、次の活動に集中しようとすると、不安や嫌悪感が襲ってくる。そして、洗いたい衝動、除菌したい衝動にも襲われる。しかし、そこで、洗ったり除菌してしまったら、行動療法は失敗である。
●不安や嫌悪感、そして洗浄衝動は、脳の間違った信号だから振り回されてはいけない。
●不安や嫌悪感に襲われても、それを棚に上げて、次の活動に集中する。
●洗いたい衝動、除菌したい衝動を、脇に置いて、次の活動に集中する。
●不安や嫌悪感、洗浄除菌の衝動は、とても不快だ。しかし、それを打ち消すような考えをしてはいけない。例えば「きれいになっているはずだ」などと考えたくなるが、逆効果になりがちだ。なぜなら、強迫観念が「万が一汚れていたらどうする?」と、しつこくからみついてくるからである。誤作動している脳でいくら考えても、不安を打ち消すことはできない。考えれば考えるほど不安になってしまうのである。ここでは、他のことに集中して、考えない時間をつくることが目標である。「今は脳が故障しているから考えるのは後にしよう」と先延ばしするのがコツである。
●慌てて不安や嫌悪感や洗浄衝動を打ち消す必要はない。どうせ脳の誤作動によるバカげた不安なのだから。どうせ脳の誤作動による間違った衝動なのだから。
●重要なのは、不安や嫌悪感が浮かんでも、反応せずに放置することである。
●洗浄除菌の衝動が浮かんでも、心の脇に放置して、今だけは次の活動に集中する。
●脳が正常化するためには少なくとも30分間、他の活動に集中する必要がある。
●どうしても衝動が強い時は、「30分後に洗おう」と先延ばしして、その30分間は、活動だけに集中するようにする。脳が正常化するまでの「時間かせぎ」をすることが大切だ。
4ステップ 不安・嫌悪感・強迫衝動が薄れるのを実感する
●とにかく30分間は、不安・嫌悪感・洗浄衝動を棚上げし、何か別の活動に集中するのだ。洗浄や除菌から関心を移すのだ。
●仕事でも趣味でも、何でもいいので、別の活動をして、考えない時間をつくるのだ!あわてることはない。考える必要もない。どうせ脳からの間違った命令なのだから。
●別の活動に集中していると、脳が正常に働きだして、30分後には不安がうすれていることを実感できる。
●「まだ気になるが、さっきほどではない」と思えるのだ。
●そこで、「さっきより不安じゃないから、もう30分待ってみよう」と、さらに「先延ばし」をして、洗わないでいる時間をどんどん伸ばす練習をしよう。どんどん良くなっていきますよ。
●先延ばし作戦は、すごく不潔恐怖を治すのに効果がある。ぜひチャレンジしてみてください。
●手洗い・除菌の衝動は、OCDという病気のしわざであり、本物の思考ではない。つまり脳の誤作動であり、故障した脳の「エラーメッセージ」にすぎない。だから、放置して別の活動に集中するのである。別の活動に集中していると、脳がクールダウンして正常化する。時間が経つにつれて、さっきの不安は意味のないものだったんだなと実感できる。やっぱりただの脳の間違った信号だったんだと認識を強めることができ、克服の4ステップが好循環するのである。
さいごに
不潔恐怖の強迫性障害は、正しい努力をすれば、必ず改善できます。
ですが、手洗い衝動や、強迫観念をかわすためには、何週間、時には何か月の練習が必要です。
自転車の練習に似ているのです。たゆまぬ努力と忍耐が必要なのです。途中であきらめて、手を洗ってしまったり、聖域にこだわってしまったら、残念ながら治ることはありません。
強迫観念など、脳の「エラーメッセージ」に過ぎないことを忘れないでください。振り回される必要はないのです。強迫観念が浮かんでも、それを放置して、別の活動に集中することで脳が正常化します。
発症前のあなたのように「汚れててもいいや」と、過度に洗浄除菌しない生活を取り戻す練習をしてみてください。きっとできます。なぜなら、発症前にできていたことを、取り戻すだけですからね。応援しています!
もし、一人で克服の練習を続ける自信がない場合は、3回コースのカウンセリングもありますので、いつでもご相談してくださいね。
克服3回コースの料金は、電話12000円、対面15000円です。(いずれも3回分の料金です)